翻訳ソフトを使ってみる(8)
良さげな翻訳ソフトのまとめ
英→和に関して
翻訳精度スコア〜短文編〜
翻訳精度スコア〜英文解釈編〜
の結果の通り、無料のWeb翻訳サービスなら断然「Excite翻訳」です。市販のソフトの場合は、翻訳精度のみについて言えば、「The翻訳 2008」と「コリャ英和!一発翻訳 2009」では大きな差は感じませんでした。ただ、ある程度長い文章(エッセイとかニュース記事等)を翻訳した場合には、「Excite翻訳」より若干良い翻訳をすることが多いかなという印象です。
和→英に関して
和英については、精度自体の調査はあまりしていません。やってもあまり良くないのはよくわかっているからです。やはり和英の翻訳をある程度うまく行うには、書く側が英文にしやすい日本語を意識(主語を明確にする・接続詞に気を使う・無駄な助詞や助動詞を省く・ソフトが解釈し辛い体言止め等の表現は控える等)する必要があります。それを踏まえた上で、私が『良い』と判断したのは「コリャ英和!一発翻訳 2009」です。
日本語のカーソル位置に対応する英単語が赤く表示されて、他(に当てはまりそうな)の英単語のリストが表示されるのは、漢字の変換に近い感覚なので、使い心地が非常に良いです。和英に関しては、将来的に翻訳性能が上がるとしても時間がかかるでしょうし、『翻訳支援ソフト』と割り切ったものとして考えるとなかなかイイ線いってるんじゃないの?と思います。
OCRソフト
「The翻訳 2008」と「コリャ英和!一発翻訳 2009」にはOCRソフトが付属していますが、これらがなかなか良いです。「コリャ英和!一発翻訳 2009」付属のOCRソフトについては、これ単体でもなかなかの完成度だと思うのですが、スキャナの選択で大量のスキャナリスト(メーカとか機種のリスト)が出てきてユーザに選択させるというのは、10年前のクオリティだと思います。あと、スキャナを接続し忘れてスキャナの選択を行おうとすると3つ4つとメッセージボックスでエラー表示されて、これまた非常に不快です。OCR自体は悪くないと思うのですが。
「The翻訳 2008」は、「コリャ英和!一発翻訳 2009」と比べると若干見劣りするように感じるのですが、実際のところはこちらの方が便利です。理由はいたって簡単で、『対話翻訳』ソフトに直に認識データを送ることができるからです。OCRの精度がある程度良くなったとは言っても、所々誤認識はあるわけで、とりあえず『対話翻訳』で目に付く部分はざざっと直したい(そうするだけで翻訳精度が格段に上がるわけですから)のです。
「コリャ英和!一発翻訳 2009」はどうして『翻訳エディタ』にそのままリンクしにくくしているのかが疑問です。次のバージョンでは是非改善して欲しいと思います。
で、結局どれが一番良いの?
というわけで、オススメの翻訳ソフト(サービス)を使用目的に合わせて大雑把に3通り示しておきたいと思います。
たまーに翻訳しか使わんわという人
Excite翻訳をバンバン使ってください。おそらくExcite翻訳は基本の翻訳エンジンにかなり大きな翻訳データのキャッシュを持っているんじゃないかという印象があります。よく出てくる表現とかことわざ・格言、あと見出しのような短いフレーズの類は市販ソフトと比べてExcite翻訳の方が完璧な翻訳をすることがありました。G○○gleで言う統計的ほにゃほにゃという概念に近いことを補助的なシステムとして取り込んでるんではないかと予想(大嘘だったら御指摘宜しくm(__)m)します。文脈を読み取るところまでは手が回っていないと思いますが、だからと言って市販ソフトと大きな差があるわけではなさそうなので、市販ソフトを使えばすばらしい翻訳が得られるという幻想は持たなくて良いです。
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総括
『市販のソフトはウンコだ』という話は良く聞きますし、私自身そう思ってました。しかし今回使ってみて、総合的には充分使えるソフトだなと感じました。翻訳精度がそこそこというのはある程度受け入れて、使い勝手を重視したものにするという方向性は悪くないと思います。ただ、長文の翻訳を見て『翻訳精度自体、まだまだ良くすることができるな』と確信しています。おそらく「The翻訳 2008」も「コリャ英和!一発翻訳 2009」も、何らかの文脈推定を行っているはずです。文脈推定をある程度システマチックに行うことは可能だと思いますし、それが翻訳精度をアップさせる一番良い方法だと私は考えています。安易な『学習機能』に頼らず、システマチックな構文解析・文脈推定のアプローチを続けていって欲しいです。
PS.
来年以降で新バージョンが出たら、また調査しようと思います。