競プロ日記003: AHC014とABC271
AHC014
AHC014終わりました! AHC(長期)の締め切りって日曜日の19時が多い気がするので,今回もそうだと思ってたら前日の土曜日だったんですね.締め切り20分前に気が付いて,とりあえずちゃんと動作しそうなものを提出しました.最終日に細々と実装しようと思ってたことができなかったのでちょっと心残りな部分はありますが,さっさとやらない自分が悪いのでまあ仕方ない.
感想
この問題は盤面の評価が難しくて,一通り点を置かないとスコアの良し悪しがわからないので,ものすごく難しいやつだと問題を読んですぐにわかりましたが,『じゃあどうする』が全然出てきません.こういう状況は最近多くて,ダメなことはすぐにわかるようになっても解決案がろくに出てこないという苦しい時期です.結局は自分にできそうなゆるふわビームサーチをやることになるんですが,MMと違って盤面がとても大きく,また制限時間も比較的少ないため強引な探索ではほとんどスコアがでません.この辺もよくわかっているハズなのに全く対処ができていない.少し時間をかけて戦術を考えておかないといけませんね.
基本方針
盤面が大きく探索が難しいのと,現状では高速化が不十分ということもあって,なかなか酷い方針だとは思うんですが貪欲ガチャしました.具体的にはZobristHashingで盤面を記録しつつ,(その点を置いたときのスコア) × 倍率 - (ペナルティ)を評価関数として貪欲に点を置きます.ペナルティは矩形のサイズの2乗と,縦横バランスとしました.つまり矩形が小さくて,正方形に近いものほど高評価になるようにしています.この評価関数で生成した盤面を記録し,同じ盤面はスキップするようにしつつ,スコアの倍率を変化させながら繰り返し実行する感じです.
とにかく初期の盤面の状態が悪ければどれだけ探索しても意味がないので,最初から何度もやり直して偶然良いスコアが出るまでやっただけですね.本当はそこそこ良いスコアが出た盤面に対して点の削除と追加を何度か行う処理を入れたかったのですが,間に合いませんでした.
データ構造
Nが最大61ということで,どう考えてもBitboard作れってことでしょ!と思って64bit整数の配列×4(縦横斜め)に辺の情報を持たせました.あと,矩形のデータは繰り返し生成しそうだったので一度作ったものはキャッシュするようにしました.これはそんなに悪くないはず.
ダメポイント
まあとにかく遅い.何が遅いかというと,毎回点を打つための候補を盤面全体に対してチェックしているので,これで探索しようとすると全然間に合わない.最初に候補の一覧を生成し,あとは点を打つたびに差分を取るようなことをしなければならないと思うのだけどこれができていない.あとは点を取り除く処理ができていないところで,依存関係を考慮しつつとなるとバグが出そうで作業を後回しにしてしまったところですかね.早い段階でこれが必要とわかっていたのに手をつけないのは反省しないといけません.
次回に向けて
ヒューリスティック問題のコンテストで実力を挙げるには,コンテストが終わった後どれだけ復習するかで決まるような気がしていますが最近はまったく時間が取れていないので,そこをなんとかせねばなりません.コンテスト終わる→溜まった仕事を片付ける→次のコンテストが始まってしまうの連続なので,おそらくどこかでお休みを入れないといけません.もちろん『お仕事』の😁
ABC参加4回目
AHC014の提出を終えてぐったりしている中,京セラプログラミングコンテスト2022(ABC271)に参加しました.今回も3問ですが,初めて解く順序を変えてABDの3問を解きました.朝から子どもの運動会を観に行って,帰って仕事して,仕事中にAHCの締め切りが土曜日ということに気付いて慌てて提出して…と,いろんなことがあって心身ともにかなり疲労していたんですが,まあ何とかなりました.D問題に関しては昔自分が書いた記事でDP解の復元について触れていたので,「これは間違いなくできる」と判断しました.しかし表(H)と裏(T)を逆にしてWA(´Д`;)あとはA問題をPythonで書いたので,B問題でC++に変えたときに言語選択ミスでRE.そうかそんなミスもあるね.やっぱり言語は常に統一した方が良さそう.
Cはちょっと考えてできそうな気もしたんですが,全く頭が働かない状態でやったら間違いなくバグを埋める自信があったのでやめときました.復習もたぶんしないかな.あと3~4回はレーティングが上がりそうだけど,そこから先は何らかの対策が必要になってきそう.何しよ.鉄則本?
競プロ日記002: ABC270とMM140とAHC014
ABC参加3回目
この1週間は前半MM140,後半AHC014ということで大変ハードでしたが,こういうのはとにかく続けないとダメなのでトヨタ自動車プログラミングコンテスト2022(ABC270)に強行参加しました.
今回はABCと3問解いて残り時間が1時間ちょい,あと1~2問解けるかなーと思っていましたが,いろいろとダメで結局Dをやっているうちに時間切れになりました.前回より正答数が少なかったけど,まだ3回目ということでレーティングは順調に上がっています.
Dは貪欲→WA,うーん全探索→TLEという典型的な失敗を順当に経た後,メモ化かなーとかやっているうちに時間切れになりました.1時間もあってなんで時間切れかというと,貪欲解法のときに「あれ,lower_boundってどんな使用だっけ?」となって30分くらい調べてました^^;翌朝メモ化再帰版が通りました.解説とかTwitterのタイムラインではDPという説明が多くてそれはよくわかるんですが,自分の基本的なアプローチが「貪欲→全探索→メモ化」というステップになりがちなので,これを「あっ,これ競プロ本で見たやつだ!DP!DP!」という感じにならんとスピードアップが難しいかも.
とはいえ,あまり無理な勉強をすると長続きしないと思うので,基本ABC用の勉強はナシ.とにかく実戦経験を積む.解きかけの問題があった場合のみ次の日に最後までやる程度にしようと思います.
マラソンやろうぜ!
今週はMM140の締め切りでした.順位は32人中18位でレーティングはちょい下がり.今回の問題は結構面白かったので,もっとたくさん参加して欲しいですね.まあAtCoderに慣れちゃうといろいろ不満は感じやすいから仕方ないのだけど.まあ自分はこれからも参加しまくります.
それはそうと,AHC014が締め切りまであと1週間くらいなので,そろそろ頑張らないといけません.しかしMM140が終わったところで頭がまだ完全に切り替えられていなくて,まだお休み中です.今晩くらいから動き出すかも.
競プロ日記001: ABC269
ABC参加2回目
先週の初参加に続いてUNICORNプログラミングコンテスト2022(ABC269)に参加しました.MM140とAHC014が始まっていてかなりハードではありますが,やると決めたので気合で参加です.
方針
言語の選択
初参加のときは最初Pythonで書いていて途中でC++に変えました.マラソンマッチのときはいつもC++なので,今回は最初からC++を使うようにしました.Pythonの方が楽な場合が多いですが,あくまでマラソンマッチがメインなので常にマラソンをイメージしてやるようにします.
解答順序
今回も素直にA,B,C,…の順番に解きました.1時間くらいで目標のDまで解けたので終わりにしようかと一瞬思ったのですが,欲が出てきた+E問題がインタラクティブ問題という見慣れない形式で興味が出てきたため,結局時間いっぱいやってしまいました.F以降の問題に目を通していないので,次回はとりあえず見てみるくらいはやっておこうかと思いました.
テストケースとローカルテスト
A~Cはサンプルを実行するだけにしました.Dは入力サイズ的に大丈夫かと思ったのですが,あまり慣れていないUnion Find Treeを使う問題だったので大きめのテストケース(N=1000)を一応作ってテストしました.全然問題なかったので,今後は余程微妙でない限りはサンプルのみで突撃します.
ソースコード
そんなにガッツリローカルテストをするわけでもないので,今回はABC269というディレクトリを作って,その中にa.cpp
, b.cpp
, ...のようにソースファイルを作成しました.これで全然問題なさそうです.
結果
今回はABCDの4問が通って,EでWAが出て修正中に時間切れになりました. 最初の方はただ上がっていくだけなので気楽で良いですね.
WAの原因
EのWAは原因が2つあって,1つは出力フォーマットのミスです.矩形領域だから
? (矩形の左上) (矩形の右下)
かと思い込んでいましたが,実際は
? (行の範囲) (列の範囲)
でした.問題をちゃんと読まないとダメだということですが,これに気付いたのが終了5分前でした.提出の一覧画面に「詳細」という項目があり,そこでWAの数が確認できることを知ったのが遅すぎました.ここをすぐに確認して,「サンプルですらWAになっているのでオカシイ!」と気付けばもっと早く修正できていたはずです.
さて,急いで修正したので間に合ったのですが,それでもWAでした.これは限度の10回(縦横10回ずつと考える)を質問した場合の処理に対応できていなかったからですが,1つ目のミスの発見が早ければ間に合っていたかもしれません,残念.
次回に向けてとか感想
MM140とAHC014を並行してやっていて全く余裕はないので,参加できたとしても今回とほぼ同じ方針で進めようかなと思います.AHC014はとても賑わっていてすばらしいですね.MM140の問題はとても面白いしもっと参加してほしいんですが,新規の参加者があまりに少なすぎて常連ばっかりの飲み屋状態になってきているのが少し心配です.
競技プログラミングの鉄則
はじめに
『競技プログラミングの鉄則』という書籍が9月16日に発売されます.「これは!」と思ったので,少しの紹介と個人的な感想を書きます.尚,書籍の紹介に関しては特に依頼されたわけではありません.単純に一人の読者として感想ですのでご了承ください。
この記事を書いている人
全くの競プロ素人というわけではありません.主にヒューリスティック問題のコンテストに好んで参加しています.また,本ブログ上部にあるようにいくらか本を書いたり出版に関わったりもしています.つまり,ヒューリスティック好きで本を少し書いたことがある人の感想ということです.
読み方
本書の読み方は自由ですが,14頁に「本書の進め方」という頁がありますので,まずここを読むのがベストかと思います.私は目次を見た瞬間「7章ヒューリスティック」を読みたくて少し迷いましたが我慢して最初から読みました.個人的にはどの技術書でも「はじめに」の頁が一番好きで,ここに著者の想いが詰まっていることが多いので,まず最初に読むことにしています.
個人的なほほーんポイント
競プロに関しては普段からTwitterでなんとなくタイムラインを眺めているので,ワードそのものは何となく知っていたのですが,改めてほほーんと思ったことを挙げます.
- いもす法(2章):遠い昔に差分の累積和がカシコイということを教えてもらったのだけど,今ではその辺が一般化されて「いもす法」と名前がついているのを知らなかった.
- 二分探索・動的計画法(3・4章):結構細かく分類されていて,ざっくりとしか理解していないと5分とか10分で解くのが難しそうだということがわかった.
- 考察テクニック(6章):もちろん他の書籍でも似たような記述はあるのだけど,これが1つの章として存在していることがとても重要に感じた.テクニック的なことに限られているけれども,もっと基本的なアプローチ方法とかメンタル面にも触れておいてもらえるとよりありがたいかな.…と思ったら,10章の頭(410頁)と終章(456頁)に欲しい内容が書かれていた.これは素晴らしい!
- ヒューリスティック(7章):ほほーんはない.…好き😚
- クエリ処理(8章):この手の問題に出くわしたことが今までにないので,今知って良かった.要勉強!
- グラフアルゴリズム(9章):ヒューリスティックでめっちゃ使う気がするので,ここはとても重要.
細かい点では他にもたくさんありますが,皆さんも本書に目を通してほほーんポイントを見つけてください(無かったわーという人はかなり上級者だと思います).
オンラインテスト
https://atcoder.jp/contests/tessoku-book で,本書に解説されている問題と応用問題をテストすることができます.AtCoderの形式なので,コンテストに参加したことある人は何ら問題ないと思います.AtCoderは使い勝手がかなり良いので,初めての人でも大丈夫でしょう.
最後に
「はじめに」とか「謝辞」の頁を読んで,著者の情熱を感じました.章のまとめ方や図表の使い方を見ると,本書を仕上げるためのバランス取りを相当入念に行ったのだろうということがわかります.本当によくまとまってます.あまりにベタ褒めだと良くないよなーとは思いながら読み進め,この文章も書いていたのですが,やっぱり良いものは良いんですよ.というわけで,本書の紹介と感想はこれくらいにしておきます.とにかく一度手に取ってご覧になることをおすすめします.
競プロ日記000: ABCはじめました
ABC(AtCoder Beginner Contest)に初参加しました
以前から気になっていたもののスケージュールの都合とか体調の問題で参加を見送っていましたが,重い腰をついに上げユニークビジョンプログラミングコンテスト2022 夏(ABC268)に参加しました.理由は2つあって,1つは単純に「参加している人たちが楽しそう」ということ,もう1つは「ヒューリスティックコンテストの実力を強化したい」ということです.
概要
私はABC初参加とはいえヒューリスティック系のコンテストにはそこそこ参加していて,今年(2022年)の春ごろからATopCoder MM(Marathon Match)やAHC(AtCoder Heuristic Contest)のようなヒューリスティック系のコンテストには好んで参加しています.AtCoderでのヒューリスティックレーティングは現状こんな感じ(1337の水色)です.
MMのコンテスト期間は基本的に1週間で,AHCの場合は1~2週間の場合と4時間だけの場合があります.特に4時間制限のコンテストでは今までまともな成績で終われた経験がなく,短期間で解答を完成させることがなかなかできませんでした.そこで「瞬発力を上げよう!」という考えに至ったわけです.つまり本稿はヒューリスティックでもっと強くなりたいオッサンが瞬発力を上げるトレーニングとして短期コンテストに参加するという日記であります.最初は問題の具体的な解法とかコードを中心に書いていこうかと思ったんですが,今は公式な解説があるのと,非公式で多くの方が有用な記事をたくさん書いてらっしゃるので,この辺りはあまり書かないつもりです(余程解説と異なる場合等は書くかも).
はじめて参加した感想
これから競プロを始める人や将来の自分に向けて,気付いたこと等をまとめておきたいと思います.
解答順序
問題のレベル感が全くわからないので,素直にA,B,C,…の順番に解きました.基本的には全部で8問みたいなので,5~6問くらい解けるレベルになってくると取り掛かる問題の順序は考えなければならないかもしれません.当面はAから順に解く方針でいくのが無難かと思いました.
言語の選択
AとBはPython3で解いて,CでTLE(時間制限)に引っかかる問題が出てきたので念のためC++に変えました.おそらく想定解のアルゴリズムではPythonでも十分なのだろうと思うので全部Pythonでも良いかなーと思いつつ,無理やりC++でチューニングしたコードで上手くいく可能性があるかもしれないので,ちょっとよくわかりません.これは何回か参加しながら自分にとって最適な選択を見つけるのが良さそうです.
ローカルテスト
AtCoderではヒューリスティックしか参加したことが無かったので,不正解のコードを提出するとペナルティがあるのをすっかり忘れていました.C問題では愚直にやればO(N2)くらいかー,TLEになりそうだなー,とりあえず提出→TLE→やっぱり😅→ペナルティ→えぇ😱
今回は大きなテストケースを自分で作って確認してから再提出したのですが,おそらくこれは(競プロ的には)良くない方法で,入力の範囲から計算量をできるだけ正確に見積もって,どれくらいのオーダーで解けば良いかを掴めるようになっていなければならないのではと思います.
ソースコードやテストケースの生成
問題が複数あるので,新しく問題を解く際に新規のソースコードとかテストケースのファイルを用意しなければなりません.今回はこの辺をあまり考えてなかったので,問題Aを解くときにAというディレクトリを作って,問題Bを解くときはAを複製してリネームみたいな感じでやっていました.こうすると,CとかDあたりで焦りが出てきたときにかなりワタワタしてしまって,編集ミスとか提出ミスをしやすそうです.しっかり手順を決めておくとか,ある程度自動的に処理できるようにスクリプトを事前に用意するとかしておくと良さそうです.
結果
初参加の結果は,ABCの3問が通って,Dのコードを実装中に時間切れになりました.Dは完成させてから提出すると通ったので,もう少しスピードアップすれば大丈夫そうかなといったところです.
というわけで初参加の結果,レーティングが55になりました.レーティングに関しては何もわかってないですが,
固定で引かれる数がある(回数を増やすとこの数は減る)ので最低10回は出ないと正しい数値は出ないです
— しえる@codefes2016::002 (@cielavenir) 2022年9月11日
とのことで,最初の数回は少々ひどい結果でも参加さえしていればいくらかは上がっていきそうです.
次回に向けて
過去問とかやれば良いだろうなーとは思いますが,まずABCに参加する時間を捻出すること自体が大変なのと,前述の通り何回も参加してレーティングを上げていく必要があるみたいなので,当面は特に準備せず参加をしていきたいと思います.10回くらい参加したところで現時点での自分の実力が大体わかりそうなので,その頃に次の対策を考えるのが良さそうですね.
競プロ本の新刊!!
この日記をダラダラを書いている最中に,1冊の本が届きました.
マイナビ様本当にありがとうございます.もうちょっと頑張って仕事します😅
パラパラと中を見た結果明らかに素晴らしいものだと思ったので,近いうちに紹介の記事を書かせていただきます.
次回に向けて(修正)
基本的には前述のとおりですが,良い本を頂戴しましたので『競技プログラミングの鉄則』を読んで勉強しつつ進めることにします.
何が何でもTopを取りたかった話(1)
はじめに
この画像は,AIZU ONLINE JUDGE(AOJ)やAtCoderが誕生する前から稼働しているオンラインジャッジシステムのPKU Judge Online(POJ)にある,一番最初の問題「A+B Problem」のStatus画面です.
この問題は非常に単純なもので,2つの整数値を読み込んでそれらの和を出力するだけの問題です.2022年4月5日14時現在では提出数545364・そのうち正解数307448と,これまでにどれだけのユーザが利用したか想像できると思います.この画像の一番上にあるozy4dmというidは私のものです.2006年1月から,少なくともこの記事を公開するまでずっと一番上にあります.
問題の内容からして小学生でも解けるレベルの問題で一番上を目指すなんて,ほとんど無意味でバカみたいなことかもしれませんが,「じゃあやってみろ」と言われて実際にできるのかというと結構難しい話です.わかる人はバカらしくてやる気にならないだろうし,わからない人にとってはものとても難しいでしょうから.
この記事は,そんなしょうもなさそうな目標を達成した,2005~2006年ごろ(今から16~17年くらい前)のお話です.これがどれくらい昔かというと,目指せ!プログラミング世界一―大学対抗プログラミングコンテストICPCへの挑戦 という,本格的な競技プログラミング書籍が発行されたのが2009年,プログラミングコンテストチャレンジブック [第2版] ~問題解決のアルゴリズム活用力とコーディングテクニックを鍛える~ (通称「蟻本」)と呼ばれる競技プログラミングのバイブル(初版)の発行が2010年ですので,それよりもっと前の話ということですね.(ちなみに最強最速アルゴリズマー養成講座 プログラミングコンテストTopCoder攻略ガイド の発行が2012年,プログラミングコンテスト攻略のためのアルゴリズムとデータ構造 が2015年の発行です.)
背景
背景と言っても,競技プログラミングには全く縁のなかった私ですので,一般的な背景ではなく単なる私の背景です.当時ACM-ICPCのようなプログラミングコンテストの存在を全く知らず,オンラインジャッジのサイトも単なる遊び場でした.今でこそいろいろと知識や技術を習得しましたが,当時はBFSとかDFSのような基本的なアルゴリズムも知りませんでしたし,解くことのできる問題が限られていました.
一応勉強のために,ある程度難しい問題にも挑戦していましたが,大半は比較的簡単な問題を解いて,その後ソースコードを短くする,いわゆるコードゴルフと呼ばれる遊びをしていました.これが本当に楽しくて一生遊べます.どれくらい楽しかったかというと,それだけで本を1冊書くくらいです.
もちろんPOJはコードゴルフをするためのシステムではないので,勝手に遊んで運営の方にも結構迷惑をかけていましたが….
Topに立つってカッコええやん?
さて最初の画像の話に戻りますが,オンラインジャッジのサイトにアクセスして,おそらくほとんどすべてのユーザが最初に開く問題は,一番最初に設置された問題だと思います.POJでは問題のレベルやタイプの分類はされていませんでしたから,とりあえず問題一覧を開くと最初の問題が一番上に表示されました.
このとき私は思ったのです.「ここのStatusで一番上に表示されてたらカッコ良くね?」と.
一番上に表示されるために必要なこと
POJの(問題毎の)Status表示では,表示する際の順序として
- プログラムの実行時間
- 消費メモリ
- ソースコードのサイズ
- 提出の日時
の優先順位でソート昇順にされています.プログラムの実行時間はかなり大雑把(たぶんclock関数とか使ってる?)で,この問題は基本的に0msで通ります.つまり実行時間の面では先に提出した人が有利で,ここで差をつけることはできません.
消費メモリ
POJの消費メモリ測定は(も)かなり大雑把です.詳細は知らないのでこれから書くことはシステムの挙動から推測した内容です.概ね正しいと思いますが,このセクションはすべて「おそらく」を補って読んでください.
POJのシステムは内部でWindows APIを使って消費メモリを取得していましたが,その値をそのまま使用していませんでした.これは言語間での差異を無くすための処置だと思います.事前に各言語で空のプログラムを実行して消費メモリを測定しておき,提出されたプログラムを実行したときの消費メモリから差し引く処理を行っていました.
APIから取得できる消費メモリのサイズは割とアバウトで,大きな配列のような,ある程度大きなサイズのメモリを消費する際はそれらしい値になりますが,ほとんどメモリを消費しないプログラムの場合,誤差の大きい記録になっていました.
空プログラムの消費メモリは毎回測定しているわけではなく,システムのリブート時とか特定のタイミングでしか行われていないようなので,消費メモリのサイズが大きい日が続いたり,小さい日が続いたりということがあり,ひどいときは負の値になっていることもありました.
私はここに目をつけて,消費メモリが負の日に提出することを試みましたが,データベースには絶対値を記録しているようで,ちょうど0にならなければならないことがわかりました.また,ほとんどの言語では消費メモリのサイズが0になることはめったになく,Pascalだけがその確率が大きいことも発見しました.
この時点で残された選択肢は,「消費メモリがちょうど0になる日に,Pascalで最短のコードを通す」ことになりました.2005年の12月から2006年の1月4日まで,毎朝起きるとすぐに他のユーザの提出状況をチェックして消費メモリの補正値を確認していました.
最短のPascalコード
よくよく考えると,このコードを公開していなかった気がしてきたので,ここで晒しておきます.どうぞ皆さん幻滅なさってください笑 これは酷いですね.解が1桁の整数にしかならないことと,テストケースが3つくらいしかないこともあって,繰り返し提出すると通ります.酷いコードではありますが,これでランキングの一番上に名前を表示することに成功しました.この記録を破るには,より短いコードを書いて消費メモリのサイズが0になる日を待ち続ける以外にありません.最近は消費メモリの補正がされないようになっていますので,現在は実質的に不可能ですが,いつかまた補正がかかる日が来るかもしれませんので,何が何でもTopを獲ってやりたい人はその日を待ってぜひ挑戦してみてください.
ここからおまけの話
この記事を書こうと思ったきっかけは,Twitterで「他人のコードをコピペするなんて!」みたいなツイートをちょいちょい見かけたからです.良いとか悪いとかは正直言えません.でも,当時POJがソースコードを原則公開するようなものだったら自分はどうしていただろうなぁと思ってしまったので,思いついたことをたらたらと書いておきます.
コードの公開
最近では,競技プログラミング的なコードは積極的に公開されるようになりました.そのおかげでプログラミングの学習効率は飛躍的に上がった気がします.当時は基本的に非公開だったので,提出したコードを自分のブログなどで公開したり解説するだけで,ある程度価値のある記事にすることができました.しかしコードの公開は,それなりにリスクを負うことになります.
それは自分の公開したコードをちょちょいと改変して,トップを獲られてしまうことです.実際,「最短コードやで!どや!!」みたいな記事を書いた直後に記録を抜かれることなんていくらでもありました.
でも,ほとんどのケースでは,自分のコードをちょっと弄ったというわけではなくて,新しいテクニックとか私では思いつかないような賢い方法で抜かれただけなので,気にする程のことは無かったように思います.たとえば余計なスーペースとか改行,使わない変数の消し忘れとか,そんな初歩的なミスでトップを獲られるなら,それは詰めの甘い自分が悪いだけですしね.
もちろん,自分が苦労して書いたコードを丸パクリとか,ちょっと変えただけで自分より良い成績を取られるのはとても悔しいことです.理想はさらに良いコードを書くことですが,うまくいかないことの方が多いと思います.おそらく自分が当事者になったら,パクリ合戦でもなんでも,相手が逃げ出すまでやると思いますが.
そこまでの執着心がなければ,さっさと次のお題に移って自分のスキルアップを目指した方が良いでしょうね.今競技プログラミングをしている人たちは,本当に高い能力を具えているように見えます.1つの問題に固執してチマチマチマチマやるのは私に任せて,どんどん上を目指して欲しいですね.
コードゴルフの文化
最近は,純粋にコードゴルフをする人はAnarchy Golfを利用しています.ここではユーザ登録の必要がなく,単に投稿者を識別するためだけの名前と,あとはソースコードのみを投稿します.また,ほとんどの問題では一定の期間を過ぎればソースコードが公開されます.
ソースコードが非公開の間は,ソースコードのサイズが小さい順,同サイズの場合は提出の早い順で順位が決まります(特殊なルールの問題を除く).ソースコードが公開された後,よりサイズの小さいコードを提出したとしても,それは後日の記録ということでランキングの下に追加されるようになっていて,よく考えられています.
しかしそれだけではなく,他人のコードから着想を得た場合に自分の名前+誰のアイデアを利用したかのような情報を付与するコードゴルファーは少なくありません.ルールではなく,暗黙のルールとかマナーというほどのものでもなく,なんとなく自然に行われていることです.
POJで遊んでいた頃でも,誰かが公開したコードがさらに短くなるとわかったとき,コメントで指摘するとか,自分で提出する場合でも余計に改行を入れて記録を抜いてしまわないように配慮する人だけが残るようになっていきました(もちろん新しいアイデアが閃いたときは容赦なく記録を更新しますが).
これって皆が真剣に遊んで,自然にそうなっただけなんですよね.別に誰かから強制されたこともないですし,長い年月を経てそうなっただけ.
もちろん今後,システムとか他の利用者に迷惑をかけたり,それまでとは異質な人間が入り込んでくることは何度もあると思います.でも,全く心配はしていません.最終的にはちゃんとイイ感じになります.
最後に
まあつべこべ言わずにコードを書けっちゅうことやな(`ω´) 第2回はものすごくモチベーションが高まったら書きます.N年後くらいかな.
POJ3786: 隣接するビットを数えよう(ゴルフあり)
隣接するビットを数えよう
はじめに
この記事は、北京大学のオンラインでプログラミングの問題を解くサービスPKU JudgeOnline(POJ)の問題をピックアップし、解法の解説と、C/C++/Python等による実装例に加えて、少し短いCでの実装を紹介します。後半は完全に趣味の世界ですのでご注意ください。
本稿の構成
問題の説明
引用元
元はACM Regional Collegiate Programming Contest のF問題です。
問題内容
ビット列(0と1の並び)の中に、隣り合う1が何組あるかを答える問題です。入力はビット列の長さと、隣り合う1が何組あるかを表す数です。 例えば、"01101100"というビット列には、ビット列の長さが8で隣り合う1が2組あります。"0011100"なら、ビット列の長さは7で、隣り合う1の数は2と数えます。1が3つ並んでいる部分は、左2文字分で1組、右2文字分で1組の合計2組ということです。"1111"というビット列なら、隣り合う1は左2文字、中央2文字、右2文字の合計3組と数えます。つまり、1がx個連続していれば、隣り合う1の組みは(x-1)あるということです。
ビット列の長さ(n)は最大100で、隣り合うビットの組(k)はそれより少なくなります。条件としてnとkが与えられたとき、条件を満たすようなビットの並びは何通りあるかを計算して出力してください。
というような問題です。
入力例
以下のように、最初にテストケースの数が与えられ2行目以降に「テスト番号」「ビット列の長さ」「隣り合う1の組数」が空白文字で区切られています。
10 1 5 2 2 20 8 3 30 17 4 40 24 5 50 37 6 60 52 7 70 59 8 80 73 9 90 84 10 100 90
出力例
出力は、「テスト番号」「条件を満たすビットの並びの総数」を空白文字で区切り、各テストケースごとに改行します。
1 6 2 63426 3 1861225 4 168212501 5 44874764 6 160916 7 22937308 8 99167 9 15476 10 23076518
具体例
入力例の1つ目のテストケースでは、nが5でkが2です。このとき考えられるビットの並びは、 11100, 01110, 00111, 10111, 11101, 11011 となっているため、出力の1行目には6と出力されます。
アプローチ
長さnのビット列を全て列挙し、隣り合うビット列をカウントする方法は、自分で小さなテストケースを作成するのに良い方法ですが、それをそのまま解答とすることはできません。ビット列の長さは最大100もあるので、100ビット整数、つまり2100(=1267650600228229401496703205376)通りも調べなければならず、現実的ではありませんね。
DPによる解法と実装例
概要
隣り合う1の組を単純に数えるには非常に時間がかかりますし、テストケースも複数あります。一度数えたビット列に対して何度も数えなおさず済むように数を記録し、さらに長いビット列を調べる場合にそれを利用できるようにします。
表記方法
ビット列の長さをn、そのビット列に含まれる隣り合う1をk組とするときのビットの並びの総数をf(n, k)と表します。
準備
まず、長さ1のビット列を考えます。長さ1のビット列は、"0"と"1"の2通りありますが、隣り合うビット列は2文字以上並んでいないと数えられませんので、いずれの場合も隣り合う1は0組と考えます。
長さ2のビット列は、"00", "01", "10", "11"の4組ですが、この中で1が並んでいるのは"11"の1つだけで、それ以外の3つは0組です。この場合、f(2, 1) = 1, f(2, 0) = 3のように表すことができます。
長さ3まで見てみましょう。この場合は、"000", "001", "010", "011", "100", "101", "110", "111"の8通りで、f(3, 2) = 1, f(3, 1) = 2, f(3, 0) = 5となっています。
数え方を検討する
ビット列の長さが4, 5, 6, ...となると全部書き出すのは少し大変になってきますので、そろそろ数え方のルールを考えるときです。長さ4のビット列は全部で16通りありますが、それは長さ3のビット列8通りのそれぞれに対して、「先頭に0をつけたもの」と「先頭に1をつけたもの」の各8通りを合わせたものです。
このとき、先頭のビットに0をつけたものでは隣り合う1の組は増えませんが、先頭のビットに1をつけた場合は隣り合う1の組が1つ増える可能性があります。たとえば、"011"の先頭に1をつけたものは"1011"で隣り合う1の組は増えていませんが、"110"の先頭に1をつけた場合は"1110"となって、隣り合う1の組みが1から2に増えます。ここに着目すると、計算のルールが決められるはずです。
2種類のテーブルを用意する
ビット列の先頭に0を加えた場合は変化なしとして、1を加えた場合は隣り合う1の数が変化する可能性があるということを確認しました。変化するのは、1を加える前のビット列の最上位ビットが1の場合のみです。つまり、ビット列を次の2つのグループに分けて扱えば良さそうです。
最上位ビットが0のビット列(dp0)
最上位ビットが1のビット列(dp1)
これらについて、ビット列の長さnと隣り合う1の組数kをキーとするビット列の順列数を保持するテーブルを作成しておけば、f(n, k) = dp0[n][k] + dp1[n][k]のような計算で解が得られます。
各テーブルの更新方法
最上位ビットに0を加えたものは隣り合う1の組数が変わらないので、
dp0[n + 1][k] = dp0[n][k] + dp1[n][k]
で得られます。最上位ビットに1を加えたものは、
dp1[n + 1][k] = dp0[n][k] + dp1[n][k - 1]
のように計算します。dp1の添え字に注意してください。
実装例
以上の方法でPythonのコードを書いてみました。
import sys # 問題がのサイズが最大100なのでそれに合わせた二次元配列 # dp[k][-1]で番兵にアクセスできるように実際のサイズはNより大きく N = 100 SIZE = N + 2 dp0 = [[0] * SIZE for i in range(SIZE)] # 最上位ビットが0のビット列用 dp1 = [[0] * SIZE for i in range(SIZE)] # 最上位ビットが1のビット列用 dp0[1][0] = 1 dp1[1][0] = 1 def make_dp(): for i in range(N): for j in range(i): dp0[i + 1][j] = dp0[i][j] + dp1[i][j] dp1[i + 1][j] = dp0[i][j] + dp1[i][j - 1] dp1[i + 1][i] = 1 def solve(n, k): return dp0[n][k] + dp1[n][k] # テストケースの数 n_test = int(sys.stdin.readline()); make_dp() for line in sys.stdin: tid, n, k = list(map(int, line.split())) print(f"{tid} {solve(n, k)}")
オリジナルの問題ではビット列の長さの上限が100ですので、それを定数にしています。また、Pythonではリストの添え字に-1を使うことでリストの最後尾にアクセスできることから、リストの最後尾に0を置いてループ内のコードがシンプルになるようにしています。
組み合わせ計算による解法と実装例
次は、任意のnとkに対して直接計算する方法を考えてみましょう。
はじめに
DPの場合と違って、ある程度大きなサイズのビット列で考えます。あまりに小さな例だと誤解する可能性があるからです。というわけで、まずはn=10, k=5くらいで考えてみましょう。この条件を満たすビット列の中で、ビット列に含まれる1の数が最も少ないのは"0001111110"のような、1が6つ連続し、他がすべて0であるような場合です。
少し一般的に言えば、長さnのビット列の中に含まれる1は少なくとも(k + 1)個あるということになります。では、ここから1の数を増やす操作を考えてみましょう。"0001111110"の"0"の部分を1に置き換えると、"1001111110"や"0101111110"は問題ありませんが、"0011111110"や"0001111111"の場合はkの値が変化してしまいます。kの値を増やさずにビット列の中の1を増やすには、どうすればよいでしょうか。
ビット列の分割(その1)
先の例を引き続き用いて、kの値、つまり隣り合う1の組数を変えずにビット列の1を増やすことを考えてみます。まずは1の並びが最小数6であるビット列"111111"に1を追加する方法を検討します。このビット列には、最上位ビットにも再開ビットにも1を加えるとkが増加してしまいますが、元のビット列のどこかに0を挿入すると、kの値は変化しません。例えば"111111"の中央に0を挿入してみると、"1110111"となります。このとき、隣う1の組は左側も右側もそれぞれ2になり、合計値すなわちkの値は2+2=4になります。さらにこのビット列の左右に1を加えると"11110111", "11101111"のようになり、いずれの場合もk=5をキープできます。
"0"を1つ挿入して左右のどちらかに"1"を付け加えるという操作であることは間違いないのですが、計算上は少しややこしいので、先に"1"を付け加えてから0を挿入すると考えます。そうすると、分割後に"1"を加える操作まで含めて6通りあるということになります。
今度は全体のビット長をnにするため"0"を補います。"0"を補っても良い箇所は、最初に"0"を挿入した部分と、左右両端の三か所です。
現時点でビット列の長さは8なので、あと2文字分の"0"を、左|中|右のどこかに挿入します。これは"00||"の並び方に相当し、C(4, 2) = 6という計算(Cは組み合わせの計算)で得られます。"11110111"に"0"を2つ挿入する場合、
0011110111 0111100111 0111101110 1111000111 1111001110 1111011100
のように、確かに6通りありました。 以上をまとめると、まず"1"の並びに"1"を1つ追加し、隙間に0を挿入する場合が6通りあって、それぞれの場合に残った"0"2つ分を挿入する場合が6通りあるので、全部で6*6=36通りあることになります。
ビット列の分割(その2)
では次に、元の"1"のビット列"111111"に、"1"を2つ付け加えることを考えてみます。先と同じように、"1"を2つ付け加えて"11111111"(1が8個)として0を2か所(同じ場所は×)に挿入し、"1"を並びを3分割してみます。このときの分け方は、C(7, 2) = 21通りあります。この場合は全てのビットが埋まりましたので、残りの"0"を挿入するステップが必要なくなります。"0"がないので"|||"の並び方と考えて計算しても、1通りという結果が得られます。
この考え方を使って、一般的な計算方法を考えてみましょう。 まず、長さnのビット列で隣り合う"1"の総数がkになるようなものの中で、"1"の数は(k+1)個が最小値です。このとき、m個の"1"を追加し、さらにm個の"0"を挿入して連続する"1"の並びを(m+1)個に分割します。
このとき、"1"の並びを分割する場合の数はC(k+m, m)であり、それぞれの場合に対して残りの"0"を挿入する場合の数はC(n-k-m, m+1)になります。したがって、
f(n, k) = C(k, 0) * C(n-k, 1) + C(k+1, 1) * C(n-k-1, 2) + C(k+2, 2) * C(n-k-2, 3) + ...
のように計算できます。
n=10, k=5の例なら、
f(10, 5) = C(5, 0) * C(5, 1) + C(6, 1) * C(4, 2) + C(7, 2) * C(3, 3) = 1 * 5 + 6 * 6 + 21 * 1 = 5 + 36 + 21 = 62
のようになります。
実装例
以上の方法でPythonのコードを書いてみました。
import sys from scipy.special import comb def solve(n, k): sum = 0 a = n - k b = k c = 0 while a >= c + 1: # exact=True で正確な整数値が得られる sum += comb(a, c + 1, exact=True) * comb(b, c, exact=True) a -= 1 b += 1 c += 1 return sum # テストケースの数 n_test = int(sys.stdin.readline()); for line in sys.stdin: tid, n, k = list(map(int, line.split())) print(f"{tid} {solve(n, k)}")
楽しい実装例
Cの実装
私の趣味はCで書かれたコードを短く書くことですので、実際に提出するコードをできるだけ短いCのコードに書き換えます。パッと見では組み合わせ計算の方が短く書けそうなので、これをまずCで書いてみます。
#include<stdio.h> int combination(int n, int k) { long long int a = 1; for(int i=1; i<=k; ++i) { a = a * n / i; --n; } return a; } int solve(int n, int k) { int sum = 0; int a = n - k; int b = k; int c = 0; while(a >= c + 1) { sum += combination(a, c + 1) * combination(b, c); a -= 1; b += 1; c += 1; } return sum; } int main() { // テストケースの数 int n_test; scanf("%d", &n_test); for(int i=0; i<n_test; ++i) { int tid, n, k; scanf("%d %d %d", &tid, &n, &k); printf("%d %d\n", tid, solve(n, k)); } return 0; }
長くなってしまいました(泣) というわけで、(POJ上で)ギリギリ動く範囲で省略できるものを省略していきます。
スッキリ書こう
f(n,k,m,j){ for(m=j=1;j<=k;--n,++j)m=1.*m*n/j; return m; } g(n,k,s,c){ n-=k; for(s=c=0;n>=c+1;--n,++k,++c)s+=f(n,c+1)*f(k,c); return s; } t,i,a,b; main(z){ for(;~scanf("%d",&b);a=b)--z%3||printf("%d %d\n"-!z,z/-3,g(a,b)); }
関数名をcombination->f, solve->gと書き換えました。それから変数の型を省略しました。全部int型です。とってもわかりやすいですね。しかし私は気に食わないんですよ。関数が3つもあることに!本当にひどいコードなので、main関数だけにしてしまいましょう。
関数っていらないよね
double x,j,u,w; g(n,k,s,c){ n-=k; for(s=c=0;n>=c+1;s+=x*(n-c)/j,--n,++k,++c) for(u=n,w=k,x=j=1;j<=c;++j,--u,--w)x=x*u/j*w/j; return s; } a,b; main(z){for(;~scanf("%d",&b);--z%3||printf("%d %d\n"-!z,z/-3,g(a,b)),a=b);}
ひとまず関数gの中にfを埋め込みました。組み合わせの掛け算をまとめて行うための精度確保に泣く泣くdoubleを使いました。本当に悲しいですが、とりあえずgに消えてほしいです。
double x; s,b,c,j,n,k,w; main(z){ for(;~scanf("%d",&b);--z%3?n=b:printf("%d %d\n"-!z,z/-3,s)) for(k=b,s=c=0;x=j=n-k>c++;s+=x*c/w) for(w=++k;j+~c;)x=x*--w/j*(n-k-j+2)/j++; }
だいぶスッキリしましたね!しかしまだまだ汚らしいコードに見えます。forって3回も書いてますし、doubleは本当に消えてほしい…。しかし現状私のスキルではこれくらいのサイズにしかできませんでした。空白文字や改行を取り除くと、このコードは166Bです。そしてこれより短いコードを書くことは可能です。よければ挑戦してみてください。
ところでコードゴルフってご存じですか?
あなたはコードゴルフをご存じですか?コードゴルフというのは、ソースコードをできるだけ短く書くという遊びです。「ソースコードを短く書く」⇒「少ない打鍵(ストローク)数でコードを書く」ということから、プログラミング上のゴルフと呼ばれています。
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