カメヲラボ

主にプログラミングとお勉強全般について書いてます

点数の良い人悪い人

解いてみよう

これは中学生向けの問題です。正しく解答することができますか?

(問1)連続する3つの自然数がある。
一番小さい数とまん中の数の2倍の和が、一番大きい数の2倍と等しい時、
3つの自然数を求めなさい。ただし解き方も書きなさい。


質問して、いくつか答案を集めてみました。
http://q.hatena.ne.jp/1313853720
(できれば、ご覧になる前にご自身で解答してみてください。)

私が説明するまでもなく、すでにコメントを頂いてますが、この問題文は解釈によって2通りの解が存在します。

もう一問、紹介しておきます。

(問2)連続する3つの自然数がある。
一番小さい数とまん中の数の2乗の和が、一番大きい数の2乗と等しい時、
3つの自然数を求めなさい。ただし解き方も書きなさい。

こちらも同様に質問してみました。
http://q.hatena.ne.jp/1313890300

問1の問題の「2倍」の部分を「2乗」と置き換えただけですので、文自体の構造は全く変わりません。ですから、問1と同様に、2通りの解が存在しそうです。

解答パターン

問1では

(a)(一番小さい数とまん中の数)の2倍
(b)一番小さい数と(まん中の数の2倍)

と捉えることが出来ます。(a)の意味なら「一番小さい数の2倍と、まん中の数の2倍」と書くべきでしょうし、(b)の意味なら「一番小さい数と、まん中の数の2倍」、できれば「まん中の数の2倍と、一番小さい数」のように誤解のない書き方をするべきなのですが、解答者の立場ではどうしようもないですね。

考えられる答案としては、

(1)(a),(b)いずれかの解釈で解答する
(2)(a),(b)両方の場合で解答する
(3)「問題がおかしい」という趣旨の答案を書く
(4)よくわからなかったので白紙にした

ですが、皆さんはどのような行動を取るでしょうか。

大半は(1)を選択すると思います。そしてそれが、一番点数の取れる選択肢でしょう。(2)は中学生が書いた答案と思うと素晴らしい気もしますが、たとえば問題を解く状況がテスト中であれば、『これは中学生向けの問題で、高々40〜50分のテストの中の、数問のうちのひとつだ』というボンヤリしたイメージを持っていること大事で、『前後の問題が普通なかんじで、この問題だけ難しいってことは無いだろう』みたいな予測ができているか否かで、試験全体の出来が結構変わってしまうものです。(ちなみに(3)と(4)は0点という意味で同類です)。

色々と書きましたが、どちらの解釈でもそれなりに答えが出るので、あまり真剣に悩まずパッと解答する生徒が良い点数を取るかなという印象があります。

引っかかりどころ

それでは、問2の方も同じように適当な感じで問題ないのかというと、そうではなくなります。この問題も、ほとんど問1同じで、

(c)(一番小さい数とまん中の数)の2乗
(d)一番小さい数と(まん中の数の2乗)

のように、先ほどと同じような場合が存在するだけなのにも関わらず、問1と比べて大きな差が出てきます。
『(c),(d)いずれかの解釈で解答』しようとした場合、(d)の解釈で解こうとすると、中学では基本的に出てこないはずの『解なし』(方程式を解くと負の値しか得られず、不適となる)が現れます。このような状況に陥ると、まず「計算ミスしていないか」という検算の作業が始まります。計算ミスがなければ、「立式がおかしくないか」と考えて(c)の解釈に移行できれば、まあ良し、できなければ大きなロスになります。
立式の段階で(c)なら2次方程式、(d)なら1次方程式になるので、たとえばその時の試験範囲が2次方程式であると事前に通知されていれば、その辺の情報から気がつく場合もあります。

ホントに数学の問題?

ここで、「わからんぬ!!!」とか「問題おかしくね?」とか言い出すのは、(気持ちはよくわかるのですが)賢明とは言えません。そんなことを思う前に、あっさりと切り捨てて次の問題に進んだ方がずっとマシです。これは数学の問題でも、国語の問題でもなく、大人の事情問題です。「答えが出てきた式の方が、出題者の意図した解釈だろう」という判断を、半ば強要されるわけです(たとえそれが心情的に受け入れられなくとも)。中学生という子どもに、大人の事情を読み取らせるとは、なかなか難しいことを要求しますね。でも、これが現実で、上記のようなことをある程度理解できていないと、良い結果を残し続けるのは難しいです。いっそのこと、数学をやっていると思うより、数学のゲームで遊んでいると思ってしまった方がずっと楽なんじゃないかと思えてきます。

出来る人は何故か最初から出来ている

それでは、上位の生徒たちはそんなことばっかり考えているのかというと、そうでもありません。私自身、最近気づいたことでもありますし、正直なところ、何故なのかはっきりわかりません。ただ、良い点を取る生徒たちは、かなり高確率で、『最初から』(c)の解釈で解いています。もちろん、連続する3数で、2乗となれば、即座に三平方の定理を思い浮かべて、ぼんやり解が思いつく可能性も考えられますが、三平方の定理を知らなくても、やはり最初から出来てます。

中学でも高校でも、今回紹介したような曖昧さを含んだ記述というのは時々見かけますが、正解ルート・不正解ルートの2つがあるとすると、


・よくできる子は、最初からなんとなく正解ルートの方を向いているので、特に引っかかることもなくすんなり解ける。
・まあまあできる子は、不正解ルートにハマりつつも大人の事情を考慮して正解ルートにたどりつくことができる。
・頑張ってるけどなんだか残念な子は、基本的に不正解ルートを向いていて、大人の事情もあまりわからない。なのでいったん引っかかるとそこで終わってしまう。
・全然ダメな子は色々と原因があって、これは別エントリかなと思いますので省略します。

なんだか出来ない子は絶望的な気がしなくもないですが、大半はトレーニングを積むことで必ず良くなりますのでご安心を。

クソゲーも意外と面白いんだぜ?

高校受験とか大学受験の数学で、今回紹介した問題のような罠に引っかかることは、少なからずあるでしょう。その場合、実は数学の内容で引っかかっているわけではないのかもしれません。落ち着いて、自分の置かれている状況を確認しましょう。闇雲に突っ走るのは良くありませんが、単に立ち止まるのも良くありません。ものすごく頑張っているのに点数が取れないというのは、残酷な言い方かもしれませんが、やっぱり駄目なわけで、中高の数学は(100%とまでは言いませんが)学内考査や入学試験でしっかりと成績を残すことが重要です。

いやいや、自分は純粋に数学を勉強したいんです!!という中高生もいるかもしれませんが『純粋に数学の勉強がしたい』のであれば、ひとまずこの数学ゲーをクリアし続けて、それなりの大学に進学してみることをお勧めします。
ホントにできる人は、どんなクソゲーでもそれなりにスコアが出せるんですよね。